会いたい

 Hさんが「今でも会いたいと思うよ。」という。連れ合いを亡くされたときどんなにか号泣されたことだろうと思う。夫婦でいることにお互い飽きている話はよく聞くが、亡くした連れ合いに何年の後も会いたいという話はあまりない。もちろん当初は泣き暮らすのだろうが時が経つにつれて現実の生活に折り合いをつけて慣れていくのだろう。
 痛烈な喪失感を味わうような存在を持つこと、またそれを経験することは人にとってどういうことだろう。そういう相手にめぐり合えたことは幸せなことか、またそれほどの執着を持つことは不幸なことか?