ガザニア


 職場の入り口の鉢植えにAさんがせっせと水をやっている。おはようございますと声をかけると「これ特攻花というんだけど知ってはる?」と返ってきた。
 特攻花を京都で聞くとは思わなかった。3,4年前この花の由来に心惹かれたカメラマンの写真展が喜界島であった。特攻兵として戦地に赴く兵士が植えたとも空から種をまいたともいわれ、戦争の悲惨さを花に託して語り継がれている。場所によってテンニンギクだったり、オオキンケイギクだったりする。
 鉢植えの花はガザニアだった。奥さんの出身の鹿児島から持ち帰ってきたものだそうだ。その地域ではこの花が特攻花として親しまれているのだろう。どの花にしろ特攻という自殺行為を戦争により強いられた若者の無念さを伝えてほしい。
 繁殖力の旺盛な花のようで、実家のある沖永良部に帰ったときいたるところで石灰岩混じりの赤土を覆うように咲いていた。
 知人から買ってきた花の名前が分からないといって来た。ガザニアではと?返信するとお褒めの言葉が返ってきた。