鶴の恩返し

「現代の伝統工芸品によるしつらえ」という催しが重要文化財の杉本家住宅であり、通常会員にしか公開されないのだが、今日まで一般に無料公開されるというので出かけた。四条通から新町通りを過ぎた路地に入り通りがかりの人に尋ねると杉本家の裏にあたるとのこと、ぐるっと回ってもうひとつ向こうの通りに入り口があると教えてくださった。
 中に入るとその部屋数の多いこと、また天井が低いこと。昔ながらの京町家のたたずまいを残すとパンフにあったが、よくわからない。部屋に面する庭の奥に、雑草が生い茂った中に実をつけた柿の木がありヒヨドリの声がしたので一瞬ここは町中?と思わされた。台所は一段下がった土間で天井が高い。何がしかの説明がなくてはその価値は私などには理解できないのでさーっと一巡して帰ってきた。

急ぎ家に戻り昼食をすますと、チェロとフルート、ピアノによる音楽物語「鶴の恩返し」を聞きに久世ふれあいセンターに向かった。
 館長が元堀川音楽高校の校長先生をしていらしたということから教え子とのコラボで出来上がった作品とのこと。 朗読者の声の高いのが気になったが、次第に物語の世界に引き込まれ、姿を見られてしまった鶴が何度も夫の上を回りながら終には遠く飛び去っていく場面で涙が流れるのが止まらなかった。