かもとりごんべえ

昔、ある村にごんべえという男がおりました。冬になるとかもをつかまえて、それを売って暮らしていました。親父さんにいわれた、一日、一羽しかとっちゃなんねえぞ、という言葉をしばらくは、守っていましたが、100羽いっぺんにとったら、後は寝て暮らせるぞと、ある日100のわなをしかけることにしました。まだ夜が明けきらないうちに沼に出かけると、99羽が罠にかかってばたばたしています。後、一羽で100だと待っていると、夜が明けて、一斉にかもが飛び立ちました。罠の先をにぎっていたごんべえさんも、かもと一緒に空に舞い上がってしまいましたとさ。


ごんべえさんではないが、Iさんが、新川のかもを捕まえるんだという。新川には、野鳥であるバンや、イソシギカワセミのほか、放し飼いになっている、40羽ほどの合鴨がいる。Iさんの知り合いが放したものらしいが、次々に数を増やしているところをみると、卵を産んで繁殖しているようだ。で、その知り合いからとってもいいよといわれているらしい。Iさん曰く、あまり増えすぎても生態系を壊すっていうことになるから、とらんといかんのよね。あれ、なかなかおいしいらしいよ。


さてどうやってとるか?その前に、まず、これは飼い主に黙ってとっているのではありませんよと、旗から立てねばなるまい。人通りの多い町中の川で、そんな大捕物があったら、みんなの注目の的、さてはあの人は、となるに違いない。網をなげるか?、夜、岸に上がって寝ているところをおそうか?

飛ぶからね、なかなかやっかいな仕事だよね。
捕まえても、後自分でなさるんですか?
ああ、つぶして、お湯かけて羽をむしったりするのは慣れてるから。

話は穏やかでない方向に来た。あたりまえのことなんだけど。

スーパーに、商品になって並んでるのしか、普通見ることないもんね。