ダチュラ

白い漏斗の形をしたダチュラが花を咲かせている。通勤の行き帰りに通る保育所の裏に、この花が咲いていて、その近くを通るときは、大きく息をすってその香りを楽しむ。田中一村の絵にもこのダチュラを描いたものがある。それまで、気にもとめなかったこの花の美しさと名前を、その画集で知った。

画面いっぱいに、大きく描かれたその白い花は、清々しく、他の装飾的とも思われるほどいろいろな植物を配した作品よりも、強く心ひかれるものがあった。ただダチュラという名前は、毒グモといわれるタランチュラを連想させるものがあって、何かしらこの花に似合わないような気がしていた。

そんな時、知人が書いた文章の中で、エンゼルトランペットという名の花を見にいった家で、出会ったのが、父と母とが結ばれるきっかけとなったというようなことが書いてあるのを読んだ。これがダチュラの英名だということで、この名の方が気に入った。でも少し長いのでやっぱりダチュラかな。

白ばかりでなく、ピンクや黄色の花色のものもあるのを、この花が気になりだしてから知った。そして嬉しいことには、年に何度も花を咲かせるのだ。会社の前を流れる川は水量が少なく、川底にはいろんな植物が繁茂しているが、窓から見えるところにダチュラが大きな一株をなしているところがある。今年は花日記をつけて数えて見よう。