雪の日の送迎

 迎えに出るときちらちらと舞っていただけだった雪が、いっときの間に本格的な降りになり、北に上がるにつれ道路に雪が積もる。車を降りしばらく歩くと靴の底に雪がつきすべる。
 育った島は雪の降らない土地だったので、雪にはわけもなく心が躍る。雪だ!雪だ!と喜んでいたが、足元がおぼつかなくなって初めて雪の日の怖さが沸いてきた。
 Iさんを迎えて手引きで歩きながら何度も滑りそうになった。
坂の中程に家のあるNさんは、いったん坂の上に車を止め車椅子を持って迎えに行く。運転手のHさんが上り坂に車椅子を押し、私は傘を差しかけながら左手で車椅子をひく。ここで一人がすべりでもしたなら大変なこと、慎重にのぼる。全員を迎え戻ったときにはほーっとため息をつく思いがした。その後も雪は中庭の樹々に降り積もった。緑と白のコントラストは暖房の中から眺めている分にはとてもきれい。