アカメガシワ(トウダイグサ科)

キブツメ(木萌芽)の時期を迎え、樹々がいっせいに新芽を吹き出す。その頂は、柔らかい緑に覆われ、まるで蛍光を帯びたようである。
早や新芽へと変わった樹々は、曇り空にも、雲の合間から陽差しを受けてるかのように照り輝く。その緑の色合いは樹それぞれにあり、さまざまに変調していく。山々が一年中で一番美しい時である。
おのおのの 緑を重ねて 山のある
なんとかして言葉にしたいと思っても、表現力に乏しい私には言い表せないもどかしさがある。

この時期、赤い芽吹きで目を楽しませてくれる植物もある。アカメガシワがそれだ。
枝先から顔を出した小さな葉っぱは、ポインセチアのように自己主張するような赤ではなく、初々しさと羞じらいを帯びたような、いとおしい赤である。

数年前に初めて参加した金作原の探鳥会で、鳥のさえずりに耳を澄まし、鳥の姿をおいながら、道々の植物についても説明があった。平地では見られない植物の数々に目をみはっていた。
時折り、会長さんの方からも、この植物の名前を知っていますか?と参加者に質問が飛んだ。唯一答えられたのが、このアカメガシワだった。