リュウキュウバライチゴ(バラ科)

通勤途中の都市ガス備蓄基地の裏手の土手に、リュウキュウバライチゴが白い花弁を広げている。白い清楚な花で緑に映えて美しい。
先日スモモの花を見に行った時、真っ先に出迎えてくれたのがこの花だった。しばらくぶりに出逢った花は、思いのほか大きな花弁で、山裾のあちらこちらに花を咲かせていた。
この花を見ると思い出すのが4歳頃から小学一年まで過ごした家である。
戦争中は軍の兵舎だったというその家は、だだっぴろいばかりで土壁のあちこちがくずれ、中の藁などが見えていた。敷地も広く、母が野菜や花をたくさん植えていたのを覚えている。スイートピーキンセンカ、アオイなどが思い出されるが、母はその花を市場に売りに行くほどであったという。その門口に咲いていたのがこの花だった。イチゴの実を食べたことは覚えていないがその白い花だけは記憶に残っている。
その頃大きな台風があり、玄関の戸が突風に吹き飛ばされ、みそ汁の鍋がひっくり返ったのが、時々なんの脈絡もなく頭に浮かぶことがある。そしてその後避難した母の親戚の、銀行の支店長をしていた叔父さんの家で出たおみそ汁が白かった事。
内容は覚えていないが8ミリ映画を見た事など。
遠い日のかすかな記憶である。

奄美の山野には白い花が多い。アマミセイシカ、オオシマウツギ、シャリンバイ、ユリ、サネンバナ、コンロンカと、確かに季節は移っていく。