子供の頃

 「松ぼっくりは水かけるとちぢむやろ、子供の頃はなようあそんだもんや」
 同僚のSさんがようけ集めたもんやなと感心しながら続けた。
 ツリー作りに使うため緑の絵の具を塗って、しばらくすると開いていた傘がとじてしまっているのを見て、初めて水分でしぼんでしまったのに気づいた。かさの中には薄い羽のような種が入っていることも初めて知った。
 「こどもの頃は男も女もないやろ、そんで水みたいなもんあるやん、それかけてしぼませて遊んでたんや」
 御年うん十のSさんが無邪気な子供の笑顔を見せた。
 それを聞いてておけらを思い出した。
 おけらを捕まえて「○○のお○○○○はどのくらい?」というと、土をかくために平べったくなって手のひらのようになった前足を広げるのを面白がったことが思い出された。いや、いくら子供でも女の子だからそんなこという筈もなく誰かがいうのを聞いたことがあるだけなのに違いない。