キンセンカ(キク科)

通勤途中のカーショップ玄関前の植え込みには、季節毎に様々な花が咲き誇っている。
ポーチュラカインパチェンスマリーゴールド、百日草、ケイトウと、コンテナによく手入れされた元気な花が次々に並ぶので、不思議に思って一度尋ねたことがある。すると、最初は自宅で育てた花を持ってきていたが、これが一年中花を絶やさないというのは、なかなかの大仕事で、最近は業者の人に頼んでいるという。
今咲いているのは白い花弁のマーガレット、その後ろに鮮やかなオレンジのキンセンカだ。
花好きの母が、必ず植えていたのがこの花で一番なじみが深い。
小学校の2年から中学の2年まで過ごした家は、6畳に4畳半そして納戸のような3畳、台所はといえば、土間で、昔の竈が残っているような古い家だった。そして小さな中庭を中心に4軒の家がくっついていたのだ。
家は狭かったが、母の手で庭にはいつも花が植えられ、年中いろんな花が咲き、花当番になると母が、庭先の花を切って用意しくれるのがとても誇らしかった。
太陽神アポロンが自分を慕っていたクリムノンの死を悼んで、その姿をこの花に変えたというのは最近知った伝説。ヨーロッパでは昔から薬用として用いられたという。
一番育てやすい花だったのか、好きな花だったのか、母に直接聞いたことはないが、太い茎に、力強い色を咲かせるこの花は、何時の日も私の心の大きな支えとなってくれている母にとても似合いの美しい花だと思う。
ふとしたきっかけから始めたこの花日記を、不肖の娘から母へのメッセージとして、駄文を書きつないでいきたいと思う。