ホンコンカポック(ウコギ科)

「カポックあるだろう?あれが倉庫の、ちょっと紙持ってきてごらん。ほらここの隅っこになってるわけよ。そしたら隣の人から苦情が来て、根が張って塀を壊しそうだからどうにかしてくれち、言われて明日は頼んで切って貰うことになってる」
紙持ってきてと話し始める時は専務の機嫌のいい時だ。
葉っぱが10枚ぐらい掌のように丸く集まってついてるあの植物である。20年ほど前かな?私が初めて見たのは。観葉植物として喫茶店などでもよく見かける。
葉の緑を愛でるという趣味がなかった事もあって、出逢った時からあまり好きな植物ではなかった。その黒々とした緑がいやだったのか?自分でもその理由がはっきり掴かめない。
最初、観葉植物として鉢に植えていたのを庭に移したのか、3メートル以上の大木に成長しているのをよく見かける。今日話が出たので、近所のその樹に目をやると、その枝先にオレンジ色の実がなり、風に重たそうに揺れている。花が咲いているのもいつだったか見たことがあるが、どんな花だったか覚えてないので小さく地味な花だったのだろう。
このカポック、他に本当のカポックというものがあって、シェフレラというのが本当らしい。
そっちの方はパンヤ科の大高木、熱帯アジア原産でその実の中には枕やクッションに詰める種毛があるという。葉が掌状複葉とあるからそういう形状の似たところから同じ名が付いたのだろうか?
原産地では、種毛の利用の他、船材としても使われる有用な樹らしい。星の王子様のバオバブの樹はこの仲間だという。いつか見てみたい樹である。
本題のホンコンカポックであるが、インターネットでいろいろ調べていると面白い記事にぶつかった。トラノオマイナスイオンではないけれど、この植物には乾いた部屋で湿度を上げる効果があるという。観葉植物の中では群を抜いているということである。少し見直した。ちっちゃい葉っぱの頃からちゃんと9枚、10枚そろっていてかわいいよね。