ゲッキツ(みかん科)

ゲッキツの実が赤く色づきはじめている。緑の葉にかくれて実がなっているのさえ気がつかないでいたのだが、赤い色に誘われてよくみるとかわいい緑の実がたくさんなっている。
夏から秋にかけては白い花を咲かせるが、これがとてもいい香りがする。中国では遠くまで香ることから九里香と呼ぶとある。
4、5年ほど前に香りのフォーラムというのが催され、街の中に香りのする植物の埴栽をというのが会の主旨だったように思う。その中で、生け垣に利用することを推奨されたひとつで、旧朝仁地区の生け垣のすばらしさが紹介されたように記憶している。
ところが最近、沖縄でカンキツグリーニング病が発生し、これが奄美のミカン農家に大打撃をあたえるのではないかと、官民あげて感染樹の検査、処分が行われている。
この病気を媒介するミカンキジラミが好んで繁殖するのが、このゲッキツということで、生け垣にこの樹を使わないようになどということがいわれるようになった。
近い将来ゲッキツの生け垣もなくなるかも知れない。
ところで、この樹には少し緑がかった白い羽を持つ、がのような虫がよくつき、子供の頃はこれを鳩ぽっぽと呼んでいたのだが、あれはいったい何という虫だったのだろう。